子どもたちをいっそうの競争のるつぼに追い込む全国一斉学力テストは中止せよ

【全教談話】

子どもたちをいっそうの競争のるつぼに追い込む全国一斉学力テストは中止せよ

2015年9月9日
全日本教職員組合(全教)
書記長 小畑 雅子

 8月25日、文科省は 2015年度の全国学力・学習状況調査(以下、全国一斉学力テスト)の結果を発表し、「下位県の成績が、全国平均に近づく」、理科の「関心・意欲・態度」について中学校で他の教科に比べて肯定的回答の減少が「顕著」などとしています。しかし、全国一斉学力テストは、これまでも子どもたちの学力向上どころか、子どもたちを苦しめ、教育を歪めている実態が各地から報告されており、今年度の実施にあたっては、以下のような問題点が明らかとなっています。

 

  1.  「学力テスト対策」として過去問のドリルを行う、テスト用紙のコピーや採点に追われる、家庭訪問の中止など、本来の授業や学校行事をないがしろにし、平均正答率をあげることが目的となっている等の実態が広がっていることが各地から報告されています。中には、4月の始業式後、全国一斉学力テストが行われるまで通常の授業が行われない地域も出てきています。このように、「本末転倒」の実態が広がっていることです。
  2.  大阪府が今年度の結果を府立高校の入試の際の内申点に反映させるとしていることは、実質的に府内全中学校を序列化することにつながるなど重大問題です。全国一斉学力テストによって「測定できるのは一部の学力」「序列化を招くことがあってはならない」としてきた文科省の見解に照らしても許されないものです。
  3.  旭川学テ訴訟最高裁判決は、全国一斉学力テストが、ア)教育活動の評価ではなく行政調査であること、イ)学校ごとの結果公表を行わないことなどをもって憲法違反ではないとしています。学校ごとの結果公表を認め、大阪府の内申点への反映を認めるならば、全国一斉学力テストが憲法違反ではないとした根拠もなくなります。

 

文科省は、今年4月の全教の申し入れに対し、全国的な学力の把握は数%の実施で可能と回答しました。マスコミの報道でも、毎日新聞が「毎年巨額の費用を投じ、同じような傾向を確かめる」ことへの疑問を投げかけ、「毎年かつ全員参加方式は見直すべき」(東京新聞)とする報道も増えています。文科省は、全国一斉学力テストを中止し、35 人学級の拡充や教育費負担の軽減など、教育条件整備こそ充実するべきです。
全教は、あらためて全国一斉学力テストの中止を求め、全国の父母・国民、教職員と共同し奮闘することを表明するものです。

以上

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