事務職員、栄養職員36協定の締結に向けて

労働条件は「対等な労使関係での交渉」で決める

職場の全ての人にも重要な取り組み

市教委は、2月末の校長会で、事務職員栄養職員についての36協定締結に向けての方針を示し、具体的な取り組みに打ち手は今後通知するとしています。

 なぜ、今36協定なのか、事務・栄養職員以外の教職員にとってどんな意味かがるのか、改めて同じ職場の職員として、その重要性を学ぶことが求められています。

人間らしい生活の根幹=8時間労働制を守る仕組み

労働条件の最低基準は「労働基準法」に定められています。その中で「一日について8時間以上働かせてはならない」(第32条の②)と明確に述べ、違反した者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を課しています。

 明治、大正期など世界の先進国でも非人間的な労働の在り方、長時間労働の問題が取り上げられ、長い労働者の戦いの結果、人間らしい生活を守るために8時間労働制が制定されてきたことが反映しています。

36協定は、ペナルティーを負って、労働時間の責任を免れようとするもの

 一方で労働基準法では、第36条で①労働者代表と協定を結ぶこと、②時間外労働に割増手当を支給するとして、使用者がペナルティーを負うことで、8時間労働の責任を免れることができるとする内容となっています。

 しかしこの36条の規定は極めて問題が多く、かつては時間外労働の上限が定められず、会社言いなりの組合が月200時間の上限を認めるような協定(現在は月上限原則45時間)も結ばれ、先進国では考えられない「過労死社会」となっていました。

相次ぐ過労死事件、粘り強い裁判、労働運動で上限規制厳格化

 しかし、相次ぐ過労死。過労自殺事件や遺族をはじめとした粘り強い裁判、労働運動の取り組みによって、2019年からやっと、原則月45時間、年間360時間の罰則付きの上限規制が課されるようになりました。医師、建設、運輸業はさらに2024年4月まで猶予されてきました。

 一方で、公立学校教員に関しては、時間外勤務については「給特法」を根拠に、限定四項目以外は時間外勤務を命じない建前から、時間外手当も支給されてきませんでした。

2019年からの時間外勤務の上限規制は、公立学校教員には努力義務として、罰則が科せられてないため、上限適用後も、以前上限越えの職員、中には過労死ライン越えの職員も根絶されていません。

事務職員、栄養職員は給特法適用外、36協定締結が必要

教員に対して、事務職員・栄養職員は、給特法は適用されず、労働基準法による36協定の締結で時間外勤務を命ずることが可能になっています。

 しかし、法令の解釈の混乱から、36協定は必要ないとして長い間、36協定を結ぶことなく、時間外勤務、時間外手当の支給が行われてきました。

 2019年からの働き方改革にかかわる労働関連法の改正で、時間外勤務の上限が厳格化される中で改めて、事務・栄養職員についても36協定の未締結が問題とされていることが今回の背景にあります。

 事務・栄養職員だけの問題ではない 団体として交渉することが重要

36協定締結は事務・栄養職員だけの問題にしてしまってはなりません。労働者1人だけでは使用者側との「対等な関係での交渉」は不可能です。そのため労働基準法でも、36協定締結に当たっては、職場の過半数を超える組合の代表もしくは職場の中から選ばれた代表が交渉するものとしています。

使用者側(管理職、市教委)から交渉・締結相手を指名したりすることも禁じられています。あくまで労働者の利益を代表できる職場の代表として交渉して、協定を締結することができます。

勤務条件は労使の対等な交渉で決めるのが大前提

また、36協定は事務・栄養職員対象ではありますが、労働法制の本来の在り方である、労働条件を対等な労使関係で交渉して決定していく。本来の在り方をもっと職場の中で広めて確立させていくことが必要と言えます。

公務員で基本的な労働条件、制度は条例や規則で定められますが、昼休憩や休暇の取り方、時間外の勤務への対応など、明記されていないあいまいな点についての運用に関しては、労働法制の門来の在り方である交渉で決定することが重要です。

今後さらに具体的な内容についても、情報を提供していきます。職場の教職員が力を合わせて、働きやすい職場にできるように声を上げていきましょう。

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