維新・門真市長の「だまし討ち」処分を断罪

 大阪地裁は3月30日、自治労連門真市職労役員への門真市の懲戒処分を違法として、取り消しを命じました。労使双方の合意に基づく勤務時間内の組合活動を、市当局が職務専念義務違反だとして懲戒処分したのは不当だとして、処分取り消しを求めた訴訟の判決です。

 労働組合や公務員を敵視し、市役所をもの言えぬ職場に変質させてきた維新政治の無法な振る舞いに相次いで違法判決が出ています。門真市長は、判決に従い控訴しないよう求めます。

大阪地裁前で勝訴を報告する西本さん、東さん

事件の概要

門真市職労役員への不当処分撤回闘争ニュース 拓 No.66 より

 門真市長は2020年10月14日、門真市職員労働組合の委員長及び書記長が勤務時間中に行うことができない職員団体(労働組合)に関する活動を行っていたとして、職務専念義務に反するとして委員長に対して1ヵ月10分の1の減給、書記長に対して戒告の懲戒処分をしました。委員長及び書記長は懲戒処分を不服として、同年12月24日に門真市公平委員会に審査請求をしました。公平委員会は2023年9月28日懲戒処分に違法は無いとして審査請求を棄却する裁決をしました。

 ところが、処分者の門真市長の代理人を務めた同市の顧問弁護士は、かつて公平委員の1人である弁護士と共同で法律事務所を経営して、共同して自治体側の代理人として、職員団体労働組合との裁判にも対応しており、審理の公平・中立に大いに疑問があり、委員長及び書記長は当該公平委員の忌避・回避を申し立てましたが、公平委員会はこれを斥けました。そこで委員長および書記長は2024年3月1日懲戒処分の取り消しを求めるとともに、関与するべきではない公平委員が関与して、審理がなされた瑕疵があるとして、裁決の取り消しを求めて、大阪地裁に提訴しました。

裁判の争点と原告の主張

(1)懲戒処分の違法性① 〜職務専念義務違反の存否〜

 門真市職労は1971年に結成されてから一貫して労使間の合意に基づき交渉事項となり得るものであれば、勤務時間中に広範な組合活動を行うことにつき、職務専念義務の免除が認められてきました。2009年3月に職員団体等との交渉などに関するガイドラインが定められた後も従前と同様に委員長、書記長も職務前年義務の免除を受けて勤務時間中に広範な組合活動を行ってきました。

 これに対し門真市長は広範な組合活動が行われていたとの認識はなかったと反論します。しかし、委員長の所属課の同僚が委員長がしばしば勤務時間中に離席をして組合活動していたことを現認していましたし、裁判で提出された証拠からは、所属課がこうした頻繁な離席について人事評価の上でどのようにすればよいかを人事課に相談した際には、離席をしていない範囲で評価するようにと回答していたことも明らかになるなど、所属課はもちろん人事課も勤務時間中に広範な組合活動をしていたことを認識した上で、職務専念義務の免除をしていた事は明らかです。このように勤務時間中に離席をして組合活動に従事することについて、職務専念義務の免除を受けていたのですから、そもそも職務専念義務違反はなかったと言うべきです。

(2)懲戒処分の違法性② 〜労使間の信義に反し、団結権を侵害する〜

 門真市は、長期にわたり、勤務時間中の広範な組合活動につき、職務専念義務を免除してきたのですから、あらかじめ職員に対してその取り扱いを変更することを告知して、職務専念義務に反することのないように警告した上でなければ、その取り扱いを受けられるものとして考えていた職員の行動を職務専念義務違反として、懲戒処分の事由とすることは、社会通念上、著しく妥当を欠き許されないというべきです。

 ところが門真市は市民からの通報メールを契機として、委員長の所属長が秘密裏に6ヶ月にわたって「観察記録」と称して、委員長の離席状況を記録して、懲戒処分の根拠資料としました。その間、所属長や人事課長は、委員長や門真市職労に対して、従前の取り扱いを変更することを告知することもなければ、職務専念義務違反になることとして注意したこともありません。このような手法は「だまし討ち」ともいうべきものです。

 また、労使間の合意に基づいて、前期の通り、勤務時間中の広範な組合活動につき、職務専念義務を免除する取り扱いをしてきたのですから、これを変更するには、労使間の協議をしなければなりません。ガイドラインも職員団体との交渉などに関するガイドラインの項目について、疑義が生じた場合は、人事当局と職員団体等が連携を図りながら対処するものとすると定めています。

 しかるに、門真市は門真市職労に対し協議を申し出ることもなく、連携を図りながら対処しようともしませんでした。このような対応は、労使間の信義に反し、団結権を侵害するものと言わなければなりません。

(3)裁決の違法性

 回避すべきであった公平委員が審理及び裁決に関与しており、公平委員会裁決は違法です。

 裁判中に入手した公平委員会の議事録においても、自らの忌避・回避の申し立てがあったことに対し、開口一番、棄却すべきとの意見を開陳し、他の公平委員を誘導しているなど、現実にも不公平な審理をしていたとことも明らかになっています。


門真市職員懲戒処分取消等訴訟の勝利判決についての声明

 市職員労働組合(門真市職労)の委員長及び書記長が、勤務時間中の組合活動のために離席をしたことが職務専念義務に違反する等を理由にして、減給や戒告の懲戒処分をされたことが違法であるとして、その取消を求めた裁判で、大阪地裁(中島崇裁判長、尾河吉久裁判官、岡野慎也裁判官)は、本日、懲戒処分は違法であると断じて、これを取り消す判決を言い渡した。

 判決は、原告らの時間内組合活動については、法令や門真市の定めるガイドラインに適合するものではなかったとして、職務専念義務違反は認めたものの、原告らが日常的に勤務時間中に組合活動を行ってきたことについて、上司から指導や注意を受けたり疑問を呈されたりすることのない状況が続いていたことからすれば、原告らにおいて時間内組合活動は黙認されていると受け止めることがあり得る状況であったとした。その上で、原告らの離席が法令やガイドラインに基づかないものであると把握したのであれば、原告らに対し、勤務時間中に行うことができる活動内容についての認識をガイドラインや市側の解釈を示すなどして、注意指導を行うべきであったと指摘した。にもかかわらず、違法の疑いがあることを告げたり、是正するよう注意指導したりすることなく、また、門真市職労に対し、ガイドラインの解釈についての問題意識を指摘することもないまま、5か月以上にわたって離席状況を記録し、当該記録を重要な根拠資料の一つとして懲戒処分に及んだのは、信義則に反し、社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を逸脱・濫用したものとして違法であると判断した。

 なお、原告らは、審査請求をした門真市公平委員会の公平委員である弁護士が、処分者の門真市長の代理人であり門真市の顧問弁護士と、かつて、共同で、弁護士法人を経営し、また、自治体側の訴訟代理人として活動をしていたことから、審理に関与すべきでなかったのに関与した違法があるとして、裁決の取消を求めていたが、判決は、懲戒処分を取り消したことから、裁決の取消請求は訴えの利益を欠くとして、これを却下した。

 原告らは、門真市の懲戒処分は、いわば「だまし討ち」であるとして、労使間の信義に反するものであると訴えてきたが、判決は、この点を正面から受け止めて、正当な判断を示したものである。また、判決は、門真市長による懲戒処分のやり方を厳しく非難したものであり、このような処分があってはならないとの司法判断が示された意義は大きい。

 原告らは、門真市に対して、司法判断を受け入れて控訴をせず、原告らか懲戒処分によって受けた不利益を回復するよう、強く求めるものである。

2026年3月30日       

門真市職員労働組合執行委員会

門真市不当懲戒取消訴訟弁護団



勤務時間内の組合活動で懲戒

処分の取り消し命じる

大阪地裁 裁量権の逸脱・濫用と認定

 大阪自治労連門真市職員労働組合の役員だった元市職員2人が、労使双方の合意に基づく勤務時間内の組合活動を市当局が職務専念義務違反だと懲戒処分としたのは不当だとして、処分取り 消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(中島崇裁判長)は3月30日、2人への処分を違法として取り消しを命じました。

 訴えていたのは、組合委員長だった西本孝雄(64)、書記長だった東弘(66)の両氏。

労使合意あるのに維新市政で 

 門真市職労は結成当初から当局と覚書を交わし、時間内組合活動の目的と内容、範囲などについて労使間協議で合意してきました。しかし維新市政下の2020年10月に突然、職務専念義務違反だとして、西本氏は減給10分1(1カ月)の懲戒処分に、東氏は戒告処分を受けました。

 市側は、組合役員の離席を容認する一方、6カ月にわたり秘密裏に離席時間を観察記録。その間、上司による注意や是正指導、労使間協議による時間内活動見直しの協議を行うことなく突然処分が実施されました。

 裁判では、懲戒権行使の有効性が焦点となりました。判決は、上司が漫然と離席を許容してきたと指摘し、「原告らは時間内活動は黙認されていたと受け止めることがあり得る状況だった」と認定。懲戒処分を想定し、役員の行動を記録し処分したのは「懲戒処分は信義則に反し、裁量権を逸脱・濫用したもので違法」と結論付けました。

 原告・弁護団は、”だまし討ち”のような形で懲戒処分をするのは許されないと示された。市は控訴せず、誠実に判決を受けとめてほしい」としています。